大学での学習への基礎学力を測るため、高校生が受験する「高大接続テスト」の研究が始まりました。
中央教育審議会が提案したこのテストは、推薦入試やAO入試を受験して大学に入学者が全体の4割近くまで増えており、その学生達の「学力低下が著しい」として、大学入学時点の学力を見極めようとするものです。
文部科学省の支援の受けて、大学・高校の関係者による、具体的な実施へ研究が始まりました。
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私は、このニュースを聞いて、日本の大学の「身勝手さ」に、少々腹が立ちます。
自分たちが推薦入試やAO入試で入学させた学生の学力が低いからといって、高校生に新しい試験を受けさせるのは、身勝手です。
推薦・AO入試は、「筆記試験(一般入試)では判定できない学力を持った学生を入学させる」という大学側の都合で始めた入試方法です。その「学力」とは、数学や英語の点数ではなく、大学での学問に対する動機・社会体験などの多様性のある「学ぶ力」のことだったのでは?
ひょっとすると、推薦・AO入試は、一般入試で合格できない受験生のための入試?それじゃ、承知の上で入学させているのだから、「低学力」と文句は言わない!
また、低学力の嘆きは、「私たち大学は、書類審査や面接や小論文で受験生の基礎学力を見抜けないまま、入学させてしまいました」と、大学の入学審査の能力のなさを告白しているようなものです。
そこで出てくる疑問は、「誰が合否を決めているの?」。「最終合格者は教授会で承認」というような公式な回答ではなく、実際の合否は誰が?一般入試の場合は、得点順に並べて決定。では、推薦・AO入試では、高校の調査書・推薦書・面接・小論文などを入試担当の教授が判断?もしそうならば、その入試担当者(たとえば、法学部教授?)が高校生を見る目がなかった?
アメリカの大学の入学審査は、Admission officerと呼ばれるプロフェッショナルが行います。彼らは、長年の経験から高校生のカリキュラムや統一試験の実態などを熟知しており、個々の志願者の実情を判定して合否を決めます。もちろん最終的には教授会(?)など承認はするでしょうが、プロとしての権限は大きなものです。
誤解のないようにいっておきますが、日本の高校卒業生の基礎学力の低さは、私も認識しています。それは一般入試受験者も含めての現象で、幼稚園から高校までの教育の問題ですから、「高大接続テスト」などという対症療法での解決は図れません。
この話から、「入れてやる」という大学業界(?)の意識が臭ってきます。
この姿勢が変わらないと、「30万人留学生計画」の達成は困難ですし、大学の国際競争に曝されて、日本の大学教育が・・・・。
今回は、少し興奮して,長くなりました。 お許しを。
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