最近、中学校での教育の重要性を指摘する意見やニュースに、よく出会います。
金融危機に対する大規模な予算編成についてのアメリカ議会の公聴会を、TVでみました。
証人のMITの女性教授の「中学校、特に女子中学生への理科教育の充実が、アメリカの将来の科学技術、ひいては経済発展に不可欠だ」という発言をきっかけに、中学校の教育について考えることが多くなりました。
中学校教育:日本の改革
また、日本でも最近、「小中9年一貫教育」が始まり、「中高6年一貫教育」は大きな広がりをみせて、中学生を巻き込んだ教育改革が進んでいます。 横浜市の小中一貫教育の提案の理由の一つに、「中学校入学時の変化に対応できない『中1ギャップ』の解消」があげられています。また、中高一貫教育のねらいには、高校入試の弊害を取り除き、大学入試への学力向上が含まれています。中学校の教育は、下と上からの挟み撃ちにあっているのです。
中学校教育:アメリカの状況
アメリカの高校での勉強は、職業につながる大学での専門的な学習への準備をする段階と捉えられています。日本のように1年間クラブ活動に汗を流すなどは考えられない、勉強の場が高校なのです。「高校生活が楽しい」と答える高校生は日本とは比較にならないくらい少ないこと、間違いありません。
その前段階の中学校は、「子ども」として扱われる小学生から思春期を経て16歳で「自立」することをトレーニングされる段階と考えられています。小学校の先生の「ビッグ・ハッグ」は、中学の先生はにはありません。
そのため、友人関係など通じて精神的・社会的な成長を促す方に、勉強よりも、重点が置かれているように、思えます。たとえば、日本の中学生が3年間で学ぶ数学は、アメリカの「Algebra」「Geometry」の相当しますが、これらの科目を9・10年生で受講する高校生が多くいます。
中学校は、大人への第一歩?
最初に紹介した証人は、「現在の中学校の教育は、女子を理数嫌いにしている」と指摘していました。女子が理数系の職業につくのは、日本もアメリカの同じ傾向です。それの原因が中学教育にあるのかどうかは、議論のあるところです。
しかし、中学生の年代で、自らの将来の職業に結びつくような夢や希望を抱く子も多いはずです。ヨーロッパ、特にドイツでは中学生の時に将来の職業選択に関わる大きな進路の方向を決めるシステムを取っていると聞いています。日本の学校でも「キャリア教育」を考え始めたと聞いていますが「職業・キャリア」に結びつく「教育」を考える必要があるのではないでしょうか。その最初が、中学生なのでしょうか?
日本の保護者は「中学生ではまだ早い」と思っておられるようです。それは、高校・大学進学が大衆化してほとんどの子どもが選ぶ道で、「勉強が出来れば自ずから道が開ける」と漠然と思っているからででは?
ひょっとして、中学生の教育と進路について、私が考え始めたのは?
早稲田大学の教え子達が大学3年生で就職活動を始める時、全く職業観や夢・希望を持たずに、目の前の会社選びに奔走している姿を見ているからかも分かりません。
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