最終回です。TIMSSの結果から、アメリカの教育を考えてみます。
(出典:http://timss.bc.edu/timss2007/index.html)
「アメリカの教育は、たいしたことないですね」
「アメリカからの帰国生は、良くできますよ」
「現地校の勉強を見ていると、レベルが低いので、心配です」
「日本にいたときよりも、3倍は勉強してるな」
「宿題をこなすだけでも大変です。部活の時間などとてもとれません」
日本の教育関係者や先生、現地校で学ぶ子どもとその保護者の皆さんから、アメリカの教育について、様々な評価や感想を聞きます。
児童生徒の個人的な事情を取り除いても、「素晴らしい」と「大変だ・心配だ」との両極端の意見が出てきます。なぜなのでしょうか?
また、このブログの読者のお子さんが通うアメリカの学校の教育レベルは、どの程度なのでしょうか?
大きな教育格差
理数科目だけの学力調査ですが、TIMSSに参加したマサチューセッツ州・ミネソタ州とアメリカ(国)の成績を見ると、州による成績の差が大きいことが分かります。
たとえば、4年生の理科についてみると、マサチューセッツ州571点、ミネソタ州551点、アメリカ539点です。もし、マサチューセッツ州571点が州の最高点で、アメリカの点数が全米の州の平均を示しているとすると、その差32点低い点数、すなわち507点の州があることになります。この調査では世界の平均点を500点としていますので、507点はその平均より少し上で、チェコやニュージーランドなど同じレベルになります。
このテストで、マサチューセッツ州はシンガポール587点に次いで世界2位、日本はミネソタ州の次の6位で548点でした。
この結果は、一般的にいわれている、アメリカ国内の州・学校区・地域、時には学校間の教育格差の存在を明確に物語っています。
お子さんの受けている教育は?
私の経験で、アメリカ在住の日本人の子どもの99%は、全米で最上位にランクされる学校区の学校で学んでいる、と断言できます。それは、生活環境の良い地域に住み、子どもを恵まれた環境の学校で学ばせるという、日本人(東アジア人)の文化観・価値観に根ざしていると思います。
一度、お子さんの学んでいる学校や学校区の全米ランキングなどを調べるか、聞いてみてください。高校であれば、SAT/ACTなどの統一試験の学校の成績と、州や全米の平均を比べる、また、州の統一試験の学校順位なでを参考になります。きっと、それベルの高さに驚かれると思います。
教育格差の大きなアメリカですが、お子さんが学んでいるのは、全米、いや上の2つの州の例でも分かるように世界的に見ても、さらにひょっとすると日本と比べても、レベルの高い教育を受けているのです。
保護者の皆さん自身の経験と価値観でお子さんの受けている教育を「大変だ」と心配するよりは、現地校の教育を信じて、その中でより良い成果を収めるようにお子さんをサポートしていくことが、大切ではないでしょうか?
その結果は、日本帰国後に「宝」として評価されます。
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